ピアノの調律 その1

PIANO

ピアノの調律や弦の張り替えなどを自分でするようになったのは、2011年以降だったと思います。

きっかけは、当時勤務していた学校の予算では、1台のピアノについて年に1回しか調律する予算を確保できなかったからです。

その学校には、グランドピアノが5台とアップライトピアノが4台ありました。

(その内のアップライトピアノ1台は、父親の意向もあり我が家から寄付したYAMAHAのU1です)

音楽の専門コースがあるわけでもないのに、毎年何人もの音楽大学進学者がいました。

ある年は同じ大学のピアノ科(東京音楽大学)に3人進学したり(他に東京藝術大学国立音楽大学等)、また別のある年は東京藝術大学に4人進学する等(作曲2人、声楽、打楽器、他に国立音楽大学2人等)、普通科とは思えない音楽の才能に溢れた学習者達が、この高校に集い刺激を受け更に磨きを掛け羽ばたいていきました。

また自分自身の事だけではなく、他の進路を目指す多くの学習者達に良い影響を与えていきました。

私はそんな学習者達を指導できた誇りや喜びだけでなく、高校時代に味わっておいた方が良いことを多く経験させることと、音楽に関する環境を整える為に全力を尽くしました。

その中の代表的な実践が、全てのピアノのコンディションを可能な限り最善の状態にすることでした。

当時としては冷暖房完備の恵まれた校舎でしたが、24時間管理されているわけではないので結果として寒暖差と湿度差がかなりあったようで、調律はすぐに狂うことと年に数回弦が切れることもあり、大変悩まされたものでした。

また各ピアノの使用頻度も高く、各音のバランスが崩れるのも早いと感じました。

いつも頼んでいる調律師さんに話してみると、色々とアドバイスをしてくれました。

それと赴任する以前の調律は、何故か大きな乾燥剤が数個ずつそれぞれのピアノの中に入っていました。

聞いたことはあったのですが、実物を見たのは初めてでした。

赴任する以前に作業なさった調律師さんは、何キロもある乾燥剤を沢山持ち歩いて出張して売り歩いているなんて、「何てことをしているんだ」と思いました。

全く効果が無いとは言えませんが、密閉されていない所に乾燥剤を入れても、いずれ水分を吸収して膨らんでしまいます。

それ以降の除湿は無理であり、どう見ても一時的な効果しか無いでしょう。

それよりも響板や鉄骨に接しており、雑音や良い響きの妨げになる欠点の方が上回るでしょう。

こまめに換気をしたり中の様子を点検した方が、良いに決まっています。

話を戻しましょう。

調律師さんのアドバイスは、何と「ご自身で調律なさったら」というものでした。

興味はあったものの、実際できるのか不安でした。

早速、調律に必要な最低限の道具を揃えていただきました。

・チューニングハンマー(例のハンドルみたいなやつ)

・フェルトウェッジ S.M.(くさび形の硬いフェルト 高音用と中低音用)2個ずつ

・チューニングハンマーポーチ(簡単に道具をしまう袋)

その他、音叉は高校時代から持っていたので、新たに購入する必要はありませんでした。

余談ですが、A=440Hz、A=442Hz の2本あれば良いのですが、高校時代はよく考えずA=441Hzも手に入れてしまいました。

A=441Hz のピッチを確認したければ、A=440 Hzの音叉と同時に鳴らして唸りが1秒に1回、A=442Hz の音叉と同時に鳴らしても唸りが1秒に1回(又はA=440Hz と同じ間隔の唸り)を聴き取れば良いわけです。

つまり、A=440Hz とA=442Hz の両方から同じ間隔の唸りであることが確認できれば、それがA=441Hz になるわけです。

また、幼い頃に調律師さんが使っていた赤いロングフェルトが無いのが気になりましたが、調律の手順の問題でフェルトウェッジだけでも可能なことを理解しました。

最初に合わせる1オクターブを各音の3本弦の真ん中1本だけ合わせるために、それ以外の左右の2本の弦をロングフェルトを挟み込んでミュートしてしまう方法があります。

そうではなく、音叉と同じAの音を合わせる時に、フェルトウェッジで左右の2本の弦をミュートし真ん中の弦を合わせたら、他の音に移る前にAの音だけ合わせてしまいます。

次に完全4度や完全5度を合わせながら、元となる1オクターブ分を平均律を合わせていきます。
(但し、唸りのない完全4度や完全5度を合わせると、平均律にはなりません)

あとは実践あるのみです。

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