ピアノの調律 その4

PIANO

基礎調律が出来たら、そこからは1オクターブ上の音や1オクターブ下の音を合わせていきます。

基本的には、オクターブで唸りが出ないようにしていけば良いのですが、それだけでなく完全4度と完全5度、また長3度と長10度と短6度の唸りを私は確認のために聴いています。

人間が合わせると何かしら癖が出てきたり集中力が散漫になったりして、バランスが崩れてしまうものです。

そういったことを少しでも補正するために、また最初の基礎調律の割り振りがそもそも間違っていないかも確認するために、半音上げるごとに唸りが徐々に増えていくかを確認しています。

こうしていけば、人間の耳でも平均律で調律することが基本的には可能です。

しかし、現実は甘くありません。

調律カーブと呼ばれる現象を意識しなければ、自然な調律として聴き取れません。

ピアノの最高音から最低音まで普通7オクターブと少しあるのですが、高い音はより高く低い音はより低くしていかないと、音が合ったように感じません。

その差は±20セント位になります。

またピアノの大きさによっても異なるので、2台以上のピアノで連弾するならば、厳密には同じ大きさのピアノを使わなければ音が合わないことになります。

これは弦が鋼鉄で硬い事などが原因で、弦長全体が振動しないためのようです。

管の中の気柱においても開口端補正が行われるように、単純な計算通りには行かないようです。

但しわざとずらすのはどうかと、私は思います。

普通にオクターブを唸りのない心地良い音高に合わせていった結果として、音高のずり上がりとずり下がりが起こる分だけで良いと考えます。

もう一つ厄介なのは1本唸りといって、低音の巻線した弦に起こりやすい現象があります。

1本の弦しか振動していないのにも拘わらず、唸りが発生してしまうのです。

我が家のDIAPASONにも最低音で起こりました。

解決策の一つとして、一旦弦を緩めて付け根の取り付け部分を半回転ねじってしまうのです。

我が家のピアノは、これで解決しました。

実は高校生の時に、例の先輩の調律師さんに作業していただいたものです。

ついでですがそれ以外にも、自分でアクションを引き出す時にハンマーが上がってしまっていたのに気付かず、1番低音のハンマーのシャンクを折ってしまった事がありました。

勿論すぐに修理していただいたのですが、Steinway & sons用の部品に取り替えています。

ほぼ同じものなので、特に問題なく使っています。

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